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サヴォア邸 ル・コルビジェ
Villa Savoye Le Corbusier
サヴォワ邸は、ル・コルビュジェ(1887-1965年)によって設計された鉄筋コンクリートラーメン構造の住宅である。
1931年に、フランスのパリ近郊の町ポワッシに建てられた。
サヴォワ邸は、20世紀前半の近代建築の創成期に生み出された名作である。
その空間と形態の構成は今日でもなお新鮮であり現代の建築の作法が近代建築の延長にあることを物語っている。
地上2階、地下1階の住宅であり1 階には玄関、ガレージ、個室など。
主室(居間などの主要な生活を担う部屋)は2階に置かれている。
1階にはピロティと呼ばれる独立柱で持ち上げられた2階の下にある。
外部空間(屋根があるだけで壁に固まれていない吹きさらしの空間)がある。
2階の一部と屋上には屋上庭園と呼ばれる外部空間がつくられス口ープで結ばれている。
外壁(外部に面した壁)には水平連窓と呼ばれる壁いっぱいに広がる横長の大きな窓が配置されている。
建築の近代五原則の実践例として有名である。
近代建築の五原則
ル・コルビュジエは、20世紀初頭からようやく一般化された鉄筋コンクリートの技法を適用した新しい建築の可能性を考え、住環境の改善をめざした。そして1927年、近代建築を構成する次の5つの原理を提唱した。なお、「近代建築の5原則」として知られるこのマニフェストだが、その原題は「新しい建築の5つのポイント」である。以降、自由な建築が生まれ、現代の建築文化を生み出していった。
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ピロティ
:地面から建築を解放し、交通と植物、運動のための場に。
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屋上テラス(庭園)
:屋上と空を解放し、日光浴、運動、菜園の場に。住居を湿った層で保護。
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自由な平面
:部屋の形や配置を構造壁から解放。間仕切り壁で自由につくれる。
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横長の窓
:自由に大きい窓がつくれるため、建物内部を一様に明るくできる。
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自由なファサード
:絵画を描くように自由にデザインできる。
これまで活用できなかった地面を開放し、屋根を平らにすることで、2倍の面積が新たに生まれる。ル・コルビュジエはまた、車社会の到来を予測し、地上の空間を開放して交通の連続性を確保した。さらに、屋上の庭園化はコンクリートの劣化を防ぐ意味でも有効だ。健康的な生活を屋上でも送れる新しい住まいのスタイルは、伝統、構造、疾病…あらゆるものから解放された、明るく自由な住まいのイメージを実現した。